地球温暖化抑制のためには、CO₂排出量の削減が世界的な課題となっています。日本は2050 年カーボンニュートラルを目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減すること、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けることを目指しています。その取り組みの中で、現在、CO₂を資源と捉え、素材や燃料などに再利用することで、大気中へのCO₂排出を抑える、「カーボンリサイクル」が注目されています。
2019年1月のダボス会議において、日本はCO₂をリサイクルする必要性に言及し、同年6月に経済産業省は「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定し、CO₂を資源として捉え、これを分離・回収し、コンクリート、化学品、燃料など多様な製品として再利用するとともに、大気中へのCO₂排出を抑制する方針を示しました。同年9月に同省が示した「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」、および2020年1月に策定された「革新的環境イノベーション戦略(統合イノベーション戦略推進会議決定)」において、石炭ガス化複合発電(IGCC)/石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証事業を進める広島県大崎上島を、カーボンリサイクル技術の実証研究拠点として整備する事業が発表されました。同年12月には経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。この中で、カーボンリサイクルは、カーボンニュートラル社会を実現するためのキーテクノロジーとして、重要分野の一つに位置づけられています。